2003年9月1日、アンティークショップメタールーナは2周年を迎えます。
銀座という土地でショップを始めることができたのは非常にラッキーでした。
なぜって?
イギリスで「あなたのお店はどこにあるの?」そう聞かれたとき
「Ginza」と応えることができるから。
「Tokio」ではなく、「銀座」。
ロンドンっ子も「銀座」は知っているのです。
「夏子のお店は日本のどこにあるんだい?」
ロンドンに行くといつもお世話になっているエイドリアンに聞かれたことがあります。
「銀座」と言ったら、彼の目がピカッと光りました。
私にはそう見えたのです。
「日本に行った時、銀座のホテルに泊ったよ」
「へぇー、いつのこと?」
「1970年頃だったかな」
さ、30年も前・・・
まだほんの1ヶ月ほど前のことでした。
銀座の「アンティークショップ メタールーナ」を一人のイギリス人が訪ねてく
れました。Steven Jenkinsというのがそのイギリス人の名前。
このメルマガの読者の方なら、もしかするとその名前に心当たりがあるかもし
れません。彼は”midwinter pottery a revolution in British tableware”の
著者。midwinterというイギリスの製陶会社が作った陶器に関する知識では、
おそらく世界で1番の人。
今回、彼はアンティークとは全然別の用事で日本にやって来たのですが、つい
最近”midwinter pottery a revolution in British tableware”の改訂版を出
版したので、その宣伝も兼ねて、「カプリ」のさおりさんに連れられて日本のあ
ちこちのアンティークショップを回っているところでした。
Stevenは、私のお店にあるミッドウィンターを一通り見て「珍しいものがある
ね」とか「このお店のミッドウィンターが一番きれいだよ」とかいろいろ言って
くれたのですが、本当は彼は別の物を見ていたようなのです。
Steven Jenkinsがイギリスに帰って数日後、日本の私の元に彼から1通のメー
ルが届きました。メールには、私のお店で見たスージー・クーパーの「Tree of
life」が欲しいということが書いてありました。
「もし売れていなければ、今度イギリスに来る時にそれを持って来てほしい」
そう、彼はメタールーナに来た時、実はミッドウィンターではなくてスージー・
クーパーを熱心に見ていたのです。
「Tree of life」は、Steven Jenkinsが小さい頃、自分の家でお茶を飲む時に
使っていたティーポット、ミルク、シュガーと同じものでした。
まさか、Steven Jenkinsが使っていた陶器そのものではないのでしょうが、それ
を見つけた時、彼はとても興奮していました。
「Tree of life」は1946年にイギリスで製作されました。
私のお店にあるそれはティーポットなのですが、あまり使われた痕がなくとても
綺麗な物です。おそらく、北米への輸出用として出荷されたものなのでしょう。
アメリカの家庭でしばらく使われた後、それはアンティークの市場で売りに出さ
れ、「デイ・ドリーム」の池田さんの手で日本に渡って来ました。
「デイ・ドリーム」でマイセンやセーブルやリモージュの間に埋もれていた
「Tree of life」を私が救い出し、お店のいい場所に置いてあげ、いつか引き取
り手が来るのを待っていました。でも、まさかそれがイギリスの陶磁器の研究家
だとは、思いもよりませんでした。
「Tree of life」は、この9月の末には私の手で、生まれ故郷のイギリスに
帰っていくのです。
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