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| VOL.13 | ||||
| ビッグ・ベンの鐘が鳴るよ・・・時計(リピーター) | |||||
| 19世紀以前のイギリスで主に使われていた「照明」は、灯心草蝋燭、蜜蝋蝋燭、あるいは鯨油やラードを使ったランプなどで、ガス灯がロンドンの町並みに初めて導入されたのは1807年の8月のことでした。 ただし、ガス灯が導入されたといっても、その数はとても少なかったようですし、値段も高かったことから、屋内で使われるほど普及するのはもっと後のことになります。ちなみに、ヴィクトリア女王がバッキンガム宮殿でガスの照明の使用を認めたのは、1851年のことです。 また、たとえば1860年代のロンドンでも、ガス灯は大きな街道沿いに集中していて、脇道に出るとまばらになり、さらに貧しい地区に行くと全く見かけなかったそうです。特に、田舎になると、戸外の照明というものが全くありませんでした。田舎道を走る馬車にもランタンは取り付けられてはいましたが、それは道を照らし出せるほど強力なものではなく、反対側からやって来る馬や乗り物から認識できるようにする、という程度のものでした。 つまり、その頃は少し郊外に出ると屋外も屋内も大変に暗かった、ということです。実際、どれくらいの暗さだったのかは、すでに「電灯」の明るさを知っている私達にはちょっと想像がつきません。その「暗さ」のため、当時の舞踏会や正餐会は満月の夜に合わせて計画されていたというくらいなのです。 そんな「暗さ」の中でも、人々、特に貴族たちは正確な時刻というものを知りたがりました。なにしろ、19世紀半ばには、正餐会にはきっかり15分前に到着するのが常識だとされていたようなのですから。 時計自体は、B.C500年頃の日時計に始まり、15世紀にはゼンマイを動力とした時計も普及しはじめています。18世紀頃には、かなり高度な技術を用いて小型化、薄型化した時計が製作されています。 そういった中にリピーターという機能を持った種類の時計があります。 リピーターというのは、「音」によって時刻を知らせる機能のことです。 たとえば、2時45分という時刻を知らせるためには、まず「カン」という音を2度、次に「カンコン」という音を3度鳴らすような仕掛けのことです。つまり「カン、カン。カンコン、カンコン、カンコン」という音を聞く事によって、人は「いまは2時45分から3時の間だな」ということを知ることができます。 現在でも事情は同じで、どんなに精密で正確な時計を持っていても、暗いところで時計の文字盤を見るのは不可能でしょう。 リピーターが発明されたのは、懐中時計では『1685年ごろにイギリスのダニエル・クーアがクオーターリピーターの特許を取っているようです。ミニッツリピーターは1710年ごろのドイツ製(作者不詳)が最近見つかりました。(ザ・懐中野郎 より)』 18世紀〜19世紀頃の舞踏会には、数百人もの貴族たちが集まることもあったようですから、きっとリピーターを持った人たちも大勢いたことでしょう。ダンスのための音楽が演奏されている最中、「カンコン、カンコン」と賑やかな音をまき散らしている方も随分いたのではないでしょうか。 19世紀も終盤になると「白熱灯」が発明され、1882年にはロンドンで初の公営発電所が稼動を始めます。そうなると、リピーターも消滅したかというと、そんなことはなく、最近でもリピーターを作っているメーカーはあるようです。 かつては家1軒分と言われたリピーターも、いろいろ安くできる工夫をして、35万円くらいで購入できるそうです。 35万円という金額を高いと思うか、安いと思うかは、個人の価値観の問題なのでなんとも言えませんが、同じ金額を出すのであれば、私は現代ものではなく、アンティークの方を選びます。それには明確な理由があるのですが、それについては次の機会に。 |
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